相続税の基礎控除の仕組みとは?相続人の数で決定 | 大分相続相談室
目次
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相続税の基礎控除は、法定相続人の数で決まります。法定相続人が多い方が一見有利ではありますが、むやみに増加できないよう法の規制があります。
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ここでは、相続税の基礎控除の仕組み、その算定の基礎となる相続人の数のほか、税額控除や非課税財産の種類まで解説します。
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相続税の基礎控除に関するよくあるご相談
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・「相続税の計算には、誰もが適用できる基礎控除があると聞いたのですが」
・「基礎控除の金額を知りたいのですが、どうすればわかりますか」
・「相続税をできるだけ低く抑えたい、何かいい方法はありますか」
この3つの質問は、最近多く寄せられている質問です。
「相続」は突然やってきて、誰も申告方法や税額の計算方法を知らないのが一般的で、珍しい質問ではありません。
相続税の計算は単純に相続財産に税率を掛けるというものではなく、実際の計算ではそこから一定の金額を差し引いて残った金額に対して税金の計算をするようになります。
この一定の金額が相続税における基礎控除です。
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基礎控除とは
続税の納付額を軽減するために、一定額が相続財産に対して控除されることです。
基礎控除の額は、3,000万円プラス法定相続人の数により決まります。現在の基礎控除額は、ひとり当たり600万円です。基礎控除は法定相続人の数で決まるため、法定相続人が2人いれば1,200万円、5人いれば3,000万円と金額は発生する相続で異なります。
例えば、法定相続人が1人の場合でも自身の600万円と3,000万円の合計で3,600万円です。
ここからわかるのが「3,000万円は固定、600万円が法定相続人の数で決まるので変動する」ということです。
ここで気になるのが「法定相続人」といわれる人たちです。誰でも法定相続人になれるわけではありません。そこには民法の考え方が反映されます。
法定相続人とは
多くの場合、法定相続人は親族で決まります。代表的なのは、配偶者、子、父母、兄弟姉妹です。
相続税の計算方法で、亡くなった被相続人を中心に親族関係図では下へ下へと法定相続人を決定します。
例えばAさんがAさんの妻との間にCさんとDさんがいます。Aさんが亡くなった場合、法定相続人は、Aさんの妻とCさん、Dさんです。法定相続人は合計で3人いることになります。
法定相続人は、親族だけで構成されているとは限りません。なかには、養子がいる場合もあります。この場合、次に紹介する2つの規定により法定相続人に含めます。
- ●被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人まで含める
- ●被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人まで含める
例えば、先ほどの例ではAさんとAさんの妻の間に実子がいない(CさんとDさんがいない)場合、養子がいれば2人まで相続人として認められます。一方、AさんとAさんの妻、実子のCさんとDさんがいる場合は、養子ひとりのみ相続人として認められます。
なぜ相続人と認められる養子の数に制限があるのか
養子縁組は、何人でも可能です。そのため、基礎控除の額を増やすために故意に養子に人数を増やす可能性があります。
この行為を防ぐために相続税法で規定している法律です。
遺産総額の計算方法
相続が発生した全ての方が相続税を申告しなければならない訳ではありません。基礎控除額を引いたあと、課税対象となる資産がなければ相続税の申告は不要です。
ここでは、相続税の計算のために必須となる遺産総額の計算方法について解説します。
遺産総額を計算式であらわすと次の通りです。
- 【課税遺産総額=正味の遺産額-基礎控除額】
上記の計算式で出てくる「正味の遺産総額」とは、次の6つで構成しています。
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1, 遺産総額
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2, 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
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3, 非課税財産
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4, 葬式費用
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5, 債務
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6, 相続開始前3年以内の贈与財産
上記6つを計算式にすると次のようになります。
「正味の遺産額=1+2-3-4-5+6」
【2.相続時精算課税の適用を受ける贈与財産】と【6.相続開始前3年以内の贈与財産】は、将来発生する相続を見据えて、節税対策を実施している場合にあります。特に何も対策をしていないという場合には、この金額はありません。
同様に【5.債務】も借入金をはじめとする負債なので「ゼロ」という方もいます。
【3.非課税財産】とは、次の4つがあてはまります。
- ・墓所、仏壇、祭具など
- ・国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
- ・生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数」まで
- ・死亡退職金のうち「500万円×法定相続人の数」まで
例えば、先祖代々のお墓がある場合は非課税財産として認められ、生命保険金や死亡退職金のように、被相続人が亡くなって受け取るものは金額により全額もしくは一部が非課税扱いです。
【4.葬式費用】は、社会通念上、葬式をするのは一般的であるため、誰でもかかる費用という観点から200万円程度まで非課税として扱います。葬儀費用として認められるものは次の通りです。
- ・葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
- ・遺体や遺骨の回送費用
- ・葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
- ・葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼
- ・死体の捜索または死体や遺骨の運搬費用
また、間違いやすいのは「香典返し・墓地の購入や借り入れにかかった費用・法事費用」です。これらは、葬式費用とは異なるため非課税扱いになりません。
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基礎控除の計算方法
基礎控除は財産の規模などに関わらず一律で3,000万円と法定相続人お一人につき600万円が相続財産から差し引かれます。
「基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」
(計算例)
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①相続財産が4,000万円、相続人が配偶者、子2人の場合
4,000万円 - ( 3,000万円 + 1,800万円 ) = - 800万円
※600万円×3人
→基礎控除額が相続財産よりも多いためこの場合は相続税はかかりません。
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②相続財産が5,000万円、相続人が配偶者、子2人の場合
5,000万円 - ( 3,000万円 + 1,800万円 ) = 200万円
※600万円×3人
→基礎控除額を超えた財産200万円に対して相続税がかかります。
相続税の特例や税額控除
相続税の計算には「特例」や「税額控除」があります。一般的によく適用している特例は「小規模宅地の特例」です。相続税がかかる財産の価格を減らすことができる特例で、ほかにも財産価格を減らす方法に「遺産に係る基礎控除」があります。
また、税額から直接控除できるものもあり、それは次の5つです。
- ・配偶者の税額軽減
- ・未成年者控除
- ・障害者控除
- ・相次相続控除
- ・贈与税額控除
そして、先にも述べた生命保険金と死亡保険金の非課税の取り扱いがあります。
現状、相続税を低く抑える方法は「課税価格の特例・課税価格からの控除・税額控除・非課税財産」の4種類です。
また、最近では「事業承継税制」を活用し贈与税や将来の相続税の対策をする方もいます。事業承継税制は、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。ただし、これを活用するには「円滑化法に基づく認定」が必要となるため、知識と時間がかかります。「自分でやってみよう」と思ってできるものではないため、気になる方は専門家に相談してみるのが良いでしょう。
特殊な相続における基礎控除
代襲相続があった場合
特殊な相続に「代襲相続」といわれるものがあります。代襲相続とは、本来相続人となるAさんが先に亡くなっている場合、Aさんの子が代わりに相続する制度です。代襲相続人の相続分は通常の相続と同じ扱いです。
このほか「数次相続」といわれるものもあります。これは、本来先に発生している相続を完結させなければならないはずが完結しておらず、その相続人に含まれている人がなくなってしまうケースです。何が問題なのかというと、相続税の申告をするには「遺産分割協議書」が必要であり、ここには相続人を含めて行います。つまり、先に亡くなっている方の相続のため遺産分割協議書を作成しようにも、本来含まれるはずの相続人がすでにいない、というものです。
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被相続人に養子がいる場合
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相続税の計算上、養子も実子と同じ扱いになりますので、基礎控除を計算する際の法定相続人となります。基礎控除額が増えると相続税が抑えられるもしくはかからなくなりますので相続税対策として行われることもあります。
ただし際限なく法定相続人に含められるというわけではなく、実子がいる場合は一人、いない場合には二人までしか法定相続人に含めることは出来ません。他にも養子に関しては様々な要件が関わってきますので、相続人に養子の方がいる場合には注意が必要です。
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相続放棄があった場合
相続放棄とは被相続人の財産に対する相続権の一切を放棄することで、相続放棄をした者はその相続に関しては最初から相続人でなかったとみなされます。では相続税の基礎控除を計算する際にも法定相続人の数に含めないか、というとそういう訳ではありません。
相続税の基礎控除額の計算では、課税の公平性などの理由から相続放棄があった場合でも「相続放棄はなかった」として計算をすることとなります。
つまり相続人に相続放棄をする人がいるかどうかは相続税の総額の計算には影響しないということになるのです。
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基礎控除の改正について
以前はこの基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」で計算していましたが、平成27年以降の相続については現行の制度に改正されており相続税の課税対象となった方は2倍近くになったと言われています。基礎控除の仕組みや計算方法を理解しておくことは実際の相続が起こった際はもちろんの事、生前対策を考える際にもとても重要になってきます。
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