社長死亡により、会社の貸付金として4,000万円が残ってしまった場合の相続税申告
会社を経営されていた方が、会社のお金と自身のお金の区別がされたいない状態で亡くなられ、相続時にご相談いただいた事例です。
状況
経営者である今回の被相続人は会社の経営のため、会社に約4,000万円の貸付を行っていました。
この貸付金4,000万円は、債権として相続財産に加算されてしまいますが、会社の状態を確認したところ、この金額を回収することは不可能であることがわかりました。
回収できないお金にもかかわらず、相続税は財産として課税されます。
現金化できない財産についても相続税が課税されることに納得がいかないので、どうにかしてほしいというご相談をいただきました。
ご提案内容
相続人の配偶者は、ある程度財産を有しているため、今回の相続では相続税を納付してでも、子供たちが財産を相続したほうが有利になります。
そのため、貸付債権は、母に相続してもらい、その他の財産は、子供たちが相続することにしました。
子供たちが貸付債権を含むすべての財産を相続すると、960万円の相続税を納付することになりますが、あえて貸付債権のみ母に相続することにしました。
そうすることで、貸付債権について配偶者の税額軽減を受けることができ、960万円の相続財産のうち、320万円の相続税を納付せずに相続することができます。
貸付債権は、何も手続きを行わないと母の財産として2次相続において相続税が課税されます。
そこで、2次相続対策として、会社を解散することにしました。
解散費用は30万円ほどかかりますが、それにより、貸付債権に対する課税が無くなります。
この当時の母の2次相続の相続税率は15%でしたので、解散手続きを行うことで、4,000万円の相続財産をゼロにすることができたため、相続税を600万円節税したことになります。